皆様こんにちは、メカニックの高宮です。
今週はドライブシャフト(エンジン&トランスミッション→タイヤへと駆動力を伝えるパーツ)の分解、ブーツ交換を行なっていました。
そこで…
「前輪駆動車の要はドライブシャフト…そしてそこに使われている等速ジョイントだ!!!」
グリースまみれでドロドロになりながらも、シトロエンの歴史を思い返しておりました。
そこで今回はドライブシャフトの整備のお話と、シトロエンの転機にもなった前輪駆動、トラクシオン・アヴァンについて触れようと思います。
少しマニアックなお話です(苦笑
画像はドライブシャフトを分解したものです。
左がトランスミッション側、右がタイヤ側。黄色枠がタイヤ側のジョイントを組み立てたものになっております。
現在はどの車両にも使われている形式で、総じて等速ジョイントと呼ばれています。
通常のジョイントではハンドルを切って角度がつくと、グワングワンと振動が出てしまうのですが、等速ジョイントであればスムーズに伝えることができます。
そこでトラクシオン・アヴァン(Traction avant)、日本語訳で「前輪駆動」という、自動車の駆動形式を指します。
実際のモデル名は、7CV、11CV、15CVといいますが、どうして前輪駆動の代名詞となるほどに革新的だったのでしょうか。
1930年頃、実は前輪駆動車(以下FF車)の優位性に気がつき、開発していたのはシトロエンだけではありませんでした。
アメリカやドイツなどで実用化され、数百台生産されたこともあります。
FF車はエンジン、ミッションを含めた全てのパーツを車両前方に設置することができるため、室内空間や荷室を広く出来ることや、生産性に優れるという点で、次世代の自動車をつくる革新的な形式だったのです。
しかし、どの車両でも課題となり、量産化に至らなかった理由は、当時の等速ジョイントは耐久性が無いという致命的な問題を抱えていたのです。
トラクシオン・アヴァンも全ての課題を克服できたわけではありませんが、優れた設計により高い信頼性を獲得しました。
FF車であることと、シトロエン独自の設計は低重心化、非常に優れた直進安定性、操縦性の良さ、室内の広さやフラットな床面に貢献します。
それらは1930年代においては極めて高い水準にあり、皆に愛され「世界で初めて量産化に成功したFF車」となりました。
シトロエンもかつては後輪駆動車(FR車)を生産していました。
そしてこの車からFFの歴史が始まり、あの伝説的なDSへと引き継がれていきます…
マニアック、というかオタク?なお話を読んでいただきありがとうございました!
整備やお買い得商品の紹介だけではなく、時々こういったお話もできれば嬉しいです。
写真の車両は、お台場のメガウェブ様にて展示されております。
ぜひご覧になって下さい。
それではまた次回にお会いしましょう!メカニックの高宮でした。