ダブルウィッシュボーン・・・独立懸架・・・16バルブぅ・・・
おっといけない?!
皆様こんにちは!工場長の高宮です。
今回も少しマニアックなお話ですよ(^^)
車好きの皆様におかれましては、カタログを見てこんな言葉に心躍らせた事があるのではないでしょうか?
ダブルウィッシュボーンといえば高性能車の象徴の様な装備でありましたが、実際に採用している車は少ないですね。
シトロエンといえばシートと乗り心地、そう言われる事も多く、新型車が出ればそのサスペンションの仕様に大きな関心を持たれます。
ではシトロエンは特殊なサスペンション形式を採用しているのでしょうか?
現行のモデルに限って言えば、答えはNOです。
(往年のハイドロ車や2CVは特殊です)
例えば写真の車種はC3 AIRCROSS SUVですが、リアは標準的なトーションビーム方式です。
左右の車輪が1本のバー(トーションビーム)で連結しており、部品点数が少なく信頼性が高いことが特徴です。
ただ、左右が連結している故に、片方の車輪に受けた衝撃が反対側にも伝わってしまう事などデメリットもあります。
ですのでショックアブソーバー等のセッティングや、各所のボディへの取付角度等で味付けを調整し、
剛性や乗り心地の確保を行うことが重要になっています。
続きましてフロント側は、マクファーソン・ストラット形式です。
これも標準的な形式で、軽自動車から大型セダンまで、あらゆる車種に採用されております。
名前の由来はマクファーソンさんが考案したストラット形式だから・・・基本設計は1940年代まで遡るそうです。
ですのでコーリン・チャプマン(ロータスの創始者)が開発したものはチャプマン・ストラットと呼ばれます。
緩衝器であるショックアブソーバー本体をサスペンション構造体の一部として利用している事が特徴で、アッパーアームと呼ばれる上部パーツがありません。
この構造をストラット形式と呼びます。
フロントサスペンションにおいてはショックアブソーバー、ロアアーム、ステアリング機構の3点で車輪を保持しており、トーションビーム形式同様構成部品が非常に少なく、高いメンテナンス性が利点です。
デメリットとしては、これはトーションビーム形式にも言えることですが、構成部品の少なさ故に調整箇所を設けることがほぼできない点にあります。
基本的には車両設計時の車輪取付角度(アライメント)で決定されるという事です。
ただ、アライメント変えたいな~という方は稀だと思うので、乗用車に於いてはデメリットと言うほどのものではありませんよね。
一部界隈では「この領域で真っすぐ走るのは・・・」なんてネタにもなっていますが(笑)
一部車種のリアサスペンションにはマルチリンク形式を採用しているものもありますが(C5 AIRCROSS SUV HYBRID ※写真はPEUGEOT 508)、
ほとんどの車種はフロント「マクファーソン・ストラット」リア「トーションビーム」です。
国産車、外国車問わず、世界中のメーカーが同じ形式を採用しています。
それにも関わらずメーカー毎に特色があり、それぞれに運転の楽しさがあるのがサスペンションの奥深い所ですね。
私の感想ではありますが、最近のシトロエンは柔らかいけど揺れない、揺れてもすぐに収めることに焦点を当てて開発しているように思えます。
この揺れの制御はプログレッシブ・ハイドローリック・クッションの設計思想なのですが、採用していないC3等も同じような印象を受けるのです。
今回は触れませんでしたが、コーナーリング時の安定性にはアライメントのほかにスタビライザーの貢献が非常に大きく、シトロエン独自のハンドリングを楽しませてくれます。
以上、今回はサスペンションのお話でした。
結局のところ、パーツ単位で見れば他社との大きな違いは無く、一つ一つの微妙なセッティングによってシトロエンの世界観が作られているという事ですね。
では、またお会いしましょう!
高宮でした(^^)ノシ